7日午前0時50分ごろ、東京都荒川区東尾久4丁目の和菓子店の冷蔵庫から、店の経営者の長女で、近くに住む大学1年木津いぶきさん(18)の遺体が見つかった。

警視庁尾久署によると、約4時間後、連絡が取れなくなっていた父親の英喜さん(43)が、約25キロ離れたさいたま市岩槻区の河川敷で首をつって死亡しているのを発見。自殺とみて尾久署が調べている。

署によると、6日午後、英喜さんから家族に「店で娘を切った。川に沈んで死ぬ」などと電話があった。署員が店に駆け付け、幅約140センチ、奥行き約75センチ、高さ約85センチの業務用冷蔵庫内で木津さんを発見。丸まった姿勢で首に圧迫痕があった。目立った切り傷は確認されておらず、司法解剖して死因を調べる。

木津さんは両親と弟の4人暮らし。6日朝、「アルバイトに行く」と東尾久8丁目の家を出たが、バイト先に現れなかった。英喜さんも朝仕事に出掛け、午後4時半ごろには仕事が終わったと妻に連絡していたという。岩槻区内では、英喜さんが使っていたオートバイが見つかった。

下町の人気和菓子店で発生した事件に、近隣住民らは一様に驚いた表情を見せた。自営業の女性(66)によると、店は約15年ほど前に開業したという。「父親は口数が少なかったけど、穏やかな人。奥さんと2人で店を切り盛りしていて、お店の評判は良かった」。60代男性は「娘さんはかわいくて、ちゃんとあいさつをするいい子だった」と話した。

また花屋経営の女性(71)は「父親は朝から晩まで真面目によく働いていた。娘と息子が小さい時は店から一緒に帰ったりと、子煩悩な人だった。お子さんをとても大事にしていたのに、なぜ」と絶句。さらに「子供を私立に通わせ、娘をバレエに習わせたり、家族の幸せを考える一方、店は賃貸で、店内にお花を飾らなかったりとぜいたくはせず、質素だった。マンションも買って、無理していたのかもしれない」と推測した。