今も残る90年代のコミュニケーションスタイル。
Illustration: AUTO MOAI
私は90年代半ばに地方銀行に就職し、その後2000年代は外資系銀行などのコンプライアンス部門(主に内部通報担当)に勤め、’17年から国内メーカーで同様の職務に就いた。
90年代の地銀と言えば、旧態依然の男性中心型風土が当たり前で、男尊女卑の考えも根強く、女性社員は「どうせ結婚してやめるだろう」くらいに思われていた。あれから約20年、3年前に入った日本企業は完全に男女平等というわけではないにしても、これまでのキャリアを尊重するフェアな扱いや待遇は、予想以上だった。
ただ、17年ぶりの日本企業でコンプライアンスを担当していて日々感じるのは、ある世代から上の人々の考えや行動に根を張るアンコンシャスバイアスだ。旧来の年功序列型組織では当たり前だったトップダウン式コミュニケーションスタイルは、いまでは対話型に変わりつつある。ところが、トップダウン式になじんできた50代以上の社員はジェンダー問わず、一方的に部下に指示を出し続け、時には怒鳴って萎縮させてしまうこともある。怒鳴る女性上司は少ないものの、かつての男性中心組織で自分がされてきたことを、そのままやってしまう人は少なくない。
長年やってきた方法を変えるのは難しい。だか、よかれと思って出している一方的な指示は、部下の活躍の機会を奪うだけでなく、モチベーションの低下につながる。そこで私は、コミュニケーションスタイルをアップデートできていない人には「部下や後輩に対して感情的な対応をしないこと。適切な敬語を使うこと」と伝えるよう心がけている。
リーダー育成研修はジェンダー問わずあるべき。
Photo: Getty Images
コミュニケーションスタイルに加えて私が懸念しているのが、「女性活用」を強調しすぎた結果として、組織の中で、その本当の意味や価値が理解されていないことだ。前職の外資企業でもジェンダーに限らず、たとえば「ダイバーシティ委員会」が外向けのアピールを重視したお飾り的な存在であったのは見てきたが、日本はそれよりさらに「うわべだけ」と私は感じてしまう。
現在の勤務先は「なでしこ銘柄」入りしており、今年は私が社内から選ばれ、経産省主催の女性リーダー育成研修に参加する機会を得た。管理職の知識を学ぶ機会を与えられたことで気づいたのは、今回のような「コーチング」をテーマとした研修は、世代や男女を問わず必要だということだ。トップダウン式コミュニケーションスタイルで育ってきた人たちも、こうした機会を与えられれば時代が変わったことに気づき、自らの行動を改めようと思うかもしれない。
これまで機会を与えられなかった女性たちに新たな道が開かれることは、素晴らしいことだ。一方で、学びの機会や内部通報窓口が特定のジェンダーのみに対して設けられることには違和感が残る。仕事のクオリティを上げるのに欠かせない組織のシステムや雰囲気の改善には、ジェンダーで区別しないほうがいいことも、たくさんあるのではないだろうか。もっとエッセンシャルな部分を見てほしいと思う。
過去の記事はこちら。
Text: Yoshiko Yamamoto Editor: Mina Oba
"コミュニケーション" - Google ニュース
August 27, 2020 at 10:13AM
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