大学生のオンライン化は講義だけじゃない
多くの大学でオンライン講義への切り替えが進んだが、オンライン化は講義だけではない。就活も多くの部分がオンラインとなっているのだ。オンライン就活の今について見ていきたい。
2022年卒業予定の大学生・大学院生を対象とした、エン・ジャパンが運営する新卒学生向けスカウトサービス「iroot」上で行った「『オンライン就活』意識調査」(2020年6月)を見てみよう。同調査によると、オンライン就活イベントで参加したことがあるものは、「就活セミナー・イベント」は84%と8割以上に上り、「企業説明会」も55%で続く状態だ。就活の多くの部分はオンライン化しているのだ。
オンライン就活に関しては、「メリットを感じる」が30%、「どちらかというとメリットを感じる」が40%と、7割がメリットを感じている。メリットを感じる理由については、地方在住でも交通費がかからないこと、効率的に参加できるため学業と両立しやすいこと、リラックスして参加でき質問などもしやすい点があるようだ。一方のデメリットとしては、雰囲気がつかみづらい、コミュニケーションの難しさが挙げられている。
なお、オンラインでの参加に抵抗があるイベントは、「最終面接」が67%、「インターンシップイベント」が48%、「2次選考~最終選考の一つ手前」が38%などとなった。全体に熱意をアピールしたい大切な場面や、雰囲気や相手の人となりをつかみたい場面などではやはり対面に軍配が上がりそうだ。
オンライン就活の経済的・時間的メリットは大きい
オンライン講義は、実習や実験などの実技系ができない、他の人の意見が聞けない、課題が多すぎるなど、様々な問題点があるようだ。一方、オンライン就活は全体に好評となっている。
ある就活生は、「移動時間がなく、説明会で一日に見られる企業数が増えた。バイトができないので、交通費がかからないのは助かる。就活と学業の両立がしやすいのも助かっている」という。オンラインなので自宅からリラックスして参加できるのもメリットのようだ。
ただし、「会社や働いている人の雰囲気はつかみづらい」と難点も挙げている。自分と合いそうかそうでないかを判断するのが難しいというのだ。「コミュニケーションも難しく感じるので、わかりやすくアピールするよう工夫した」。
コロナ禍はまだおさまらず、就活のオンライン化はもうしばらく続きそうだ。オンライン就活にはメリットも多いが、コツも必要そうだ。就活生たちがうまく乗り切って、希望に合う自分にぴったりの企業が見つけられるよう願っている。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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