ASUS JAPANの「VivoBook Flip 14 TM420」は、フリップタイプの14型液晶ディスプレイを搭載した2in1ノートPCだ。CPUにAMDのRyzen Mobile 4000シリーズを採用し、パワフルな性能とリーズナブルな価格を両立している。全3モデルのラインアップから、今回はRyzen 7 4700Uを備えた直販価格で税別9万9819円のミドルレンジモデル(TM420IA-EC147T)を入手した。性能や使い勝手を検証しよう。
自由なスタイルで使えるカジュアルなボディー
ボディーの具体的なサイズは、約324(幅)×220(奥行き)×18.2(厚さ)mmで、重量は約1.55kgとなっている(実測では1572gだった)。最近のモバイルPCとしては重めなので、常に携帯するような用途には向かないが、PCを必要な時だけ持ち出すというくらいであれば苦にならないだろう。
360度回転ヒンジを採用することで、フリップ(裏返す)できる液晶ディスプレイを装備する。クラムシェル型のノートPCとしての他、タブレットスタイル、テントスタイルなど、自由なスタイルで利用可能だ。
デザインは、いたってシンプルに仕上がっている。高級感とまではいかないが、特にチープな印象もなく、剛性感も必要十分という印象だ。ちなみに、開発段階でヒンジの開閉テストは2万回をクリアしているという。
8コア8スレッドのRyzen 7 4700Uを搭載
CPUにはRyzen 7 4700Uを搭載している。TDP 15Wのモバイル向けCPUでありながら、8コア8スレッド、最高4.1GHz(基本周波数は2.0GHz)動作というパワフルなスペックを持つCPUだ。
Ryzen 7 4700Uは、GPUコア(AMD Radeon Graphics)も内蔵しており、こちらも内蔵GPUとしてはかなり優れており、総合的に高いパフォーマンスを期待できる。
メモリ容量は8GBだ。普及価格帯の製品ながら高速なDDR4-3200メモリをデュアルチャンネルで内蔵している。内蔵GPUコアの高いグラフィックス性能をしっかり発揮できるスペックだ。
ストレージは、512GBのPCI Express SSDを装備する。評価機には、Samsung PM991が搭載されていた。OEM向けの普及価格帯モデルでシーケンシャルの読み出しが毎秒2200MB、シーケンシャル書き込みが毎秒1200MBというスペックだ。
続いてインタフェースをチェックしよう。
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テレワークやオンライン授業にも便利なインタフェース
通信機能は、Wi-Fi 6対応の無線LAN、Bluetooth 5.0を標準で装備する。USB端子は、Type-CとType-A両方のUSB 3.2 Gen.2(10Gbps)とUSB 2.0端子を備える。また、ディスプレイ出力はHDMI端子があり、microSDメモリーカードスロットも備えている。
画面の上には、Webカメラ(約92万画素)とアレイマイクを内蔵し、ビデオ会議やオンライン授業などを追加コストなしで利用できる。底面に内蔵しているステレオスピーカーの音圧も十分で、6畳くらいの部屋ならば音声も十分に聞きやすい。
タッチパッドにはWindows Hello対応の指紋センサーが用意されており、一度指紋を登録しておけば、ロックされた状態から指でそっと触れるだけでログインできる。
キーボード、液晶ディスプレイのクオリティーは?
キーボードは、アイソレーションタイプの6段配列のキーボードを搭載する。蛍光イエローでハイライトされた大きなEnterキーが印象的だが、キーピッチは横幅が約19mmとゆったりとした配置だ。カーソルキーはやや小さめだが、他のキーとは間隔を空けて配置されているのでミスタイプの不安はない。
キーストロークは約1.4mmで、高価な製品と比べるとタッチ感はやや頼りない印象があるが、おおむね打ちやすいキーボードといえる。
14型の液晶ディスプレイは、1920×1080ピクセル表示に対応する。表面は光沢仕上げで、最大輝度もあまり高いとはいえず、照明の映り込みはやや気になった。「IPSレベル」のパネルということだが、評価機を見る限り視野角についてはIPS方式と同様に広く、斜めから見ても色味などの変化は最小限に抑えられている。
エックスライトの「i1 Display Pro」を利用して計測したところ、色温度が6594K、輝度が238カンデラで、色域はsRGB面積比が63.6%(カバー率は62.9%)だった。最近の製品としては最大輝度が低めで、色域も狭い。このあたりは、コストダウンの影響が見られる部分だ。
ASUSTeK独自の画質最適化機能の「Splendid」が導入済みで、自動で日常作業に最適な色温度に調整してくれるため、自分でキャリブレーションなどをしなくとも破綻のない色味でネットコンテンツなどは楽しめる。また、手動でのカスタマイズの他、より鮮やかにする「ビビッドモード」や眼精疲労の原因と言われているブルーライトをカットする「ブルーライト削減モード」なども利用することが可能だ。
次に、ベンチマークテストで本機の実力を見ていく。
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Ryzen 7 4700Uのパワーが際立つ
搭載するCPUが8コア8スレッドのRyzen 7 4700Uということで、パフォーマンスが気になるところだ。参考として、Core i5-8250U(4コア8スレッド、1.6〜3.4GHz)搭載のThinkPad T480s(2018年発売モデル)との比較結果も掲載する。なお、MyASUSのファンモードは「パフォーマンスモード」で統一してテストした。
CINEBENCH R20の結果を見ると、マルチスレッド性能の目安となるCPUスコア、シングルスレッド性能の目安となるCPUシングルコアのスコアともにThinkPad T480sを圧倒している。2年半前、世代でいうと3世代前の製品とはいえ、その前世代から大きな飛躍を遂げた第8世代Core i5を搭載しており、まだまだ現役で通用する製品を大きく引き離しており、このパワーには驚かされる。
システムの総合性能を見るPCMark 10でも、日常操作(Essentials)、オフィス作業(Productivity)、クリエイティブ(Digital Content Creation)、いずれの項目でも上回り、特にクリエイティブ系のテストでは約51%の大差を付けている。
3DMarkやFINAL FANTASY XIV:漆黒のヴィランズベンチマークのフルHD解像度でのテストでは、ThinkPad T480sの2倍以上のスコアをマークした。DDR4-3200を搭載しているだけに内蔵GPUの性能もきっちりと発揮できているといえる。
動作音は中負荷程度ならほとんど気にならず、高負荷時でも多少ファンの音が大きくなる程度だ。放熱については、左側面の排気口から熱風が吹き出してくるので、その部分には物を置かないようにした方がいいだろう。発熱は、左手をパームレストにずっと置いていると、じんわりと感じてくる程度だ。これからの季節ならばほとんど気にならないと思われる。
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パワフルでスキのない装備でコスパ抜群! あんしん保証も魅力
2019年の後半あたりから、Ryzen Mobile 3000シリーズを搭載したモデルが増えており、この最新のRyzen Mobile 4000シリーズも、その流れで普及価格帯の製品に採用されることが多い。ところが、前世代から比べると性能も電力効率もジャンプアップしており、Ryzen Mobile 4000シリーズを搭載したPCは、それだけで非常にコストパフォーマンスが高い。
このVivoBook Flip 14 TM420も、その例に漏れない。メモリが8GBである点や液晶ディスプレイの色域が広くない点などから、あまりヘビーな用途に向いているとはいえないが、Ryzen 7 4700Uのパフォーマンスをしっかり引き出していることに加えて、普及価格帯では省かれがちなWi-Fi 6や高速のUSBポート(USB 3.2 Gen.2/10Gbps転送対応)も装備する。さらに、Webカメラやアレイマイク、セキュリティの確保とスピーディーなログインの両立など、テレワークやオンライン授業と相性の良い機能をしっかりと備えている。
日常操作から、ちょっとしたクリエイティブ用途、カジュアルゲーム、オンライン授業など、幅広い用途で満足感の高い体験が得られるだろう。税込みでも10万円ちょっとという価格で、タブレットとしても使える2in1 PCということを考えると破格の内容といえる。別売のASUS Penによる入力にも対応しており、入門用PCとして、学習用PCなどにも最適な製品だ。
今回取り上げたのはOfficeスイートにWPS Office Standard Editionを採用していたが、これをMicrosoft Office Home and Business 2019としたモデル(TM420IA-EC147TS)は税別11万8000円、Officeを省きCPUをRyzen 3 4300Uに、SSDを256GBにしたモデル(TM420IA-EC163T)なら、8万728円となっているので、用途や予算に応じて選びたい。
なお、本製品は「ASUSのあんしん保証」の対象製品となる。購入後30日以内にMyASUSへ登録すれば、1年間の保証期間中、不慮の事故だけでなく、故意や天災など、いかなる理由で故障したとしても、本来かかる修理費用の20%の負担で修理できるという内容だ。これだけの手厚い保証が追加コストなしで受けられるのは、初めてPCを購入するという人にも安心感が高いだろう。
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