トランプ米大統領は5日、2000億ドル分(約22兆円)の中国製品に課している関税を10日に10%から25%に引き上げると表明した。高関税が米国の国庫を潤し、それを支払っているのは中国だ、とトランプ氏は重ねて主張している。米産業界はそうはみていない。
「米国に支払われた関税は製品のコストにほとんど影響を与えておらず、ほとんどは中国が負担してきた」。トランプ氏は5日にこう強調した。しかし実務的に関税を米政府に納めるのは、米国に製品を輸入する企業だ。
輸入業者が、関税上乗せ分をまるごと中国の輸出企業に転嫁できるわけではない。値引きを求めるかもしれないが、自らの利幅やコストを圧縮する必要が出てくる。それでも吸収できなければ、値上げで顧客に転嫁する可能性が高まる。
既に一部の商品では関税による価格上昇があらわだ。米シカゴ大の研究者らが4月に発表した調査によると、トランプ氏がかけた関税の影響で米国内の洗濯機の価格は12%上がった。米ピーターソン国際経済研究所は、米全体の鉄鋼のコスト負担増は2018年に56億ドルに上ったと報告している。
企業は高関税を避けるために、生産拠点を中国から別の国に移したり、素材の調達元を中国以外に切り替えたりする手もある。中国経済には打撃になる。ただし米国の企業が得をするわけでもない。むしろ短期的に手間とコストがかかり、消費者にツケが回りかねない。
確かに米国の関税収入は膨らみ、米財務省によると18年10月~19年3月は347億ドルと前年同期比9割増えた。トランプ氏は2月にも「数十億ドルが関税の形で中国から米国に支払われている」と訴え、中国の負担だと強調し続けている。
この点には真っ向から反論する声が米産業界から上がる。家電メーカーなどで組織する全米民生技術協会(CTA)のゲイリー・シャピロ会長は5日、「大統領は、関税は中国が払うのではなく米国民と企業が負担するということを理解すべきだ」との声明を出した。
(国際部 久門武史)
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44450500W9A500C1EAF000/
2019-05-06 08:16:00Z
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