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Google アナリティクス for Firebaseの「イベント」と「パラメータ」とは? - Web担当者Forum

モバイルアプリに「Firebase SDK」を実装すると、「ユーザーがアプリをインストールまたは再インストールした後に、そのアプリを始めて起動した回数」「アプリ内での購入完了数」など、アプリ操作の一つひとつのデータが収集されます。

収集されたイベントは「Google アナリティクス for Firebase」が集計し、レポートとして確認できるようになります。自動的に収集してくれるイベントもありますが、データ収集が推奨されているものの自ら設定しないと、収集してくれないイベントもあります。

そこで第3回は、「Google アナリティクス for Firebase」の「イベント」と「パラメータ」の役割を解説した後、「自動的に収集されるイベント」や「アプリのタイプ別で収集したほうが良いイベント」などをピックアップして解説していきます。

本連載では、モバイルアプリを計測する無料のトラッキングツール「Google アナリティクス for Firebase」を利用したことがないユーザーを対象に各種レポートの見方や実装前の計測項目の考え方、Google アナリティクス SDKとの違いなど連載で解説しています。

アプリのデータ収集に欠かせない「イベント」と「パラメータ」を理解する

おさらいになりますが、「Google アナリティクス for Firebase」は、Google社が無料で提供するモバイルアプリのトラッキングツールです。「Google アナリティクス for Firebase」でモバイルアプリを計測するには、モバイルアプリに「Firebase SDK」を実装する必要があります。

「Google アナリティクス for Firebase」の計測では、アプリのどんなデータを収集し、分析するかを考慮しながらイベントとパラメータを設計していきます。まずはイベントとパラメータがどのようなものか解説しましょう。

「Google アナリティクス for Firebase」のEventsレポート(サンプル)

イベントとは

イベントとは、ユーザーがアプリを操作する時に発生するもので、たとえば次のようなものです。

  • ユーザーがアプリをインストールして初めて起動した
  • スクリーンを表示した
  • ユーザーがアプリ内でログインした
  • ユーザーがアプリ内で検索した
  • ユーザーがアプリ内で表示したコンテンツ(記事や商品)をお気に入りした

イベントは、Firebaseプロジェクト内のアプリインスタンスあたり500個まで収集できます。イベントは「大文字」と「小文字」が区別されるため、それらに違いがあると2種類以上のイベントとカウントされてしまいます。500個を超えるイベントは記録されないので、計測するイベントの種類が増えすぎないように注意が必要です。

なお後述しますが、first_open(インストール/再インストール後の初めての起動)やin_app_purchase(アプリ内購入完了)など、自動的に収集されるように設定されているイベントが20個以上ありますが、それらは最大500個の対象外です。

パラメータとは

パラメータとは、イベントに追加する詳しい情報のことです。パラメータ名に値を設定して使用します。たとえば、上記で挙げたイベントにパラメータを追加すると、イベントで調べられる情報が詳しくなります。

イベント(アプリ操作) パラメータ(追加する詳しい情報) レポートで調べられる情報 イベントにパラメータを追加する具体例 具体例で集計できるデータ
スクリーンを表示した スクリーン名 スクリーン名ごとのスクリーン表示数 表示したスクリーン名は“トップ” “トップ”スクリーンの表示数
アプリ内で検索した 検索ワード アプリ内検索の検索ワードごとの検索数 検索ワードは“電球” “電球”の検索数
コンテンツをお気に入りした
  • コンテンツの種類
  • コンテンツID
  • コンテンツの種類ごとのお気に入り数
  • コンテンツIDごとのお気に入り数
お気に入りしたのは、コンテンツの種類が“記事ページ”で、コンテンツIDが“ABCD0000”
  • 記事ページのお気に入り数
  • コンテンツID“ABCD0000”のお気に入り数

パラメータは1イベントに25個まで追加できます。1イベントに対して25個を超えるパラメータは記録されないので、追加するパラメータが25個を超えないよう注意が必要です。

イベントやパラメータには、最大個数以外にも文字の長さなどの制限がありますので詳しくはFirebaseヘルプをご確認ください。

Firebaseヘルプで紹介されているイベントとパラメータの種類

Firebaseヘルプには、多数のイベントとイベント設定時に推奨されているパラメータが紹介されています。この記事では、以下3つのイベントの中から代表的なものを紹介していきます。

  • 自動的に取得されるイベント
  • アプリタイプに関係なくすべてのアプリで推奨されているイベント
  • タイプ別に推奨されているイベント

自動的に取得されるイベント

Firebase SDKでは、ユーザーが設定せずとも、自動的に収集されるイベントが27個あります(2020年6月時点)。先ほど、収集できるイベントは最大500個と書きましたが、自動的に取得されるイベントはそれの対象外です。

「自動的に取得されるイベント」のなかから、代表的な5つのイベントを紹介します。

イベント名 イベント説明 自動取得されるパラメータ パラメータ説明
first_open ユーザーがアプリをインストールまたは再インストールした後に、初めて起動したときに発生するイベント updated_with_analyticsなど アプリがGoogleアナリティクスの統合された新バージョンにアップデートされた結果として記録されたfirst_openであることを示す。
in_app_purchase iTunesのApp StoreまたはGoogle Playで処理されるアプリ内購入をユーザーが完了したときに発生するイベント(別途連携設定が必要)
  • product_id
  • price
  • quantityなど
  • IAPの商品ID
  • IAP価格
  • IAPの購入数量など
notification_open FCM(Firebase Cloud Messaging)※1から送信された通知をユーザーが開いたときに発生するイベント
  • message_name
  • message_time
  • topicなど
  • FCM通知メッセージの名前
  • FCM通知メッセージの時間
  • FCM通知のトピックなど
screen_view スクリーンが移動したときに発生するイベント(条件あり)
  • firebase_screen_classなど
  • ※firebase_screen(スクリーン名)はコードで設定する必要あり
イベントが発生したスクリーン クラス
session_start アプリの操作がない状態でセッション タイムアウト時間が経過した後に、最小セッション継続時間を超えるアプリの使用があったときに発生するイベント (なし) (なし)

※1 FCMとは、Firebaseのプロダクトの一つ。詳しくはリンクを参照。https://firebase.google.com/products/cloud-messaging?hl=ja

自動的に収集されるイベントをすべて調べたい場合は、以下のヘルプを参照してください。2つ目のリンクは、「自動的に収集されるイベント」の「パラメータ」に関して詳しく解説されているヘルプです。

次は、アプリのタイプに関係なく、すべてのアプリで収集したほうが良いイベントを紹介します。これから紹介するイベントは、自動では収集されませんので、コードを追加する必要があります。

すべてのアプリで推奨されるイベント

自動で収集されないものの、アプリタイプ(小売りとeコマース、旅行、ゲームなど)に関わらず、すべてのアプリで収集することを推奨されているイベントが10個あります。今回はその中の4個を抜粋して紹介します。

イベント名 イベントを発生させるタイミング 取得が推奨されるパラメータ パラメータ説明
login ユーザーがログインしたとき method ログイン方法(Email Address、Google Account)などを指定します
search ユーザーがアプリ内で検索したとき search_term 検索ワードを指定します
share ユーザーがアプリ内でコンテンツを共有したとき
  • content_type
  • item_id
  • コンテンツの種類
  • アイテムのIDを指定します
tutorial_begin ユーザーがチュートリアルを開始したとき (なし) (なし)

すべてのアプリで推奨されるイベントの詳細を知りたい場合は、以下を参照してください。

小売とeコマースのイベント

ここから先は、アプリのタイプ別(小売りとeコマース、旅行、ゲームなど)で取得を推奨しているイベントを紹介していきます。

まずは、「小売とeコマース」のアプリで収集が推奨されるイベントです。ここで推奨されているイベントは全部で11個ありますが、ここでは4個抜粋して紹介します。

イベント名 イベントを発生させるタイミング 取得が推奨されるパラメータ パラメータ説明
add_to_cart ユーザーがカートに商品を追加したとき
  • quantity
  • item_id
  • priceなど
  • 購入数量
  • 商品のSKU
  • 商品の金額など
begin_checkout ユーザーが購入手続きを開始したとき couponなど クーポンコードなど
ecommerce_purchase ユーザーが購入手続きを完了したとき
  • currency
  • value
  • transaction_idなど
  • 通貨コード
  • 購入金額
  • トランザクションIDなど
view_item ユーザーが一つのアイテム(商品)を表示したとき
  • item_id
  • item_location_id
  • 商品のSKU
  • Google Place ID

小売とeコマースのイベントの詳細を確認したい場合は、以下のリンクから確認してください。

求人、教育、地域限定セール、不動産のイベント

「求人、教育、地域限定セール、不動産」などのアプリで収集が推奨されるイベントを紹介します。ヘルプで推奨されているイベントは全部で10個ありますが、ここでは、4個だけ抜粋して紹介します。

イベント名 イベントを発生させるタイミング 取得が推奨されるパラメータ パラメータ説明
add_to_wishlist ユーザーがほしいものリストに商品を追加したとき
  • item_name
  • item_id
  • item_location_idなど
  • 商品の名前
  • 商品のSKU
  • Google Place IDなど
generate_lead ユーザーが問い合わせフォームまたはリクエストを送信したとき valueなど 問い合わせの価値など
view_item ユーザーが一つのアイテム(商品)を表示したとき
  • item_id
  • item_location_id
  • 商品のSKU
  • Google Place ID
view_search_results ユーザーが検索結果を表示したとき search_term 検索ワード

求人、教育、地域限定セール、不動産のイベントの詳細を確認したい場合は、以下のリンクから参照してください。

旅行(ホテル、航空券)のイベント

「旅行(ホテル、航空券)」のアプリで収集が推奨されるイベントを紹介します。ヘルプで推奨されているイベントは全部で9個ありますが、ここでは4個を抜粋して紹介します。

イベント名 イベントを発生させるタイミング 取得が推奨されるパラメータ パラメータ説明
add_payment_info ユーザーがお支払い情報を追加したとき (なし) (なし)
add_to_wishlist ユーザーがほしいものリストに商品を追加したとき
  • item_category
  • item_name
  • item_idなど
  • 商品のカテゴリ
  • 商品の名前
  • 商品のSKUなど
search ユーザーがアプリ内で検索したとき
  • search_term
  • start_date
  • originなど
  • 検索ワード
  • 出発日
  • 出発地など
view_item ユーザーがアイテムの詳細を表示したとき
  • start_date
  • number_of_nights
  • number_of_passengersなど
  • 出発日
  • 宿泊日数
  • 旅行人数など

旅行(ホテル、航空券)のイベントの詳細を確認したい場合は、以下のリンクから参照してください。

ゲームのイベント

「ゲーム」のアプリで収集が推奨されるイベントを紹介します。ヘルプで推奨されているイベントは全部で9個ありますが、ここでは4個だけ抜粋して紹介します。

イベント名 イベントを発生させるタイミング 取得が推奨されるパラメータ パラメータ説明
join_group ユーザーがグループに参加したとき group_id 参加したグループのID
level_up プレーヤーがゲーム内でレベルアップしたとき
  • character
  • level
  • キャラクター
  • レベル
tutorial_begin ユーザーがチュートリアルを開始したとき (なし) (なし)
unlock_achievement プレーヤーが実績を達成したとき achievement_id 達成した目標のID

ゲームのイベントの詳細を確認したい場合は、以下のリンクから参照してください。

以上のように、Firebaseヘルプには収集を推奨するイベントやパラメータが記述されています。ご自身のモバイルアプリを計測する際は、Firebaseヘルプを参考にイベントやパラメータを設計していくと良いと思います。

また、Firebaseヘルプに記述されているイベントやパラメータ以外にも、独自の名称でイベントやパラメータを収集することも可能です。

Firebase SDK以外のモバイル計測ツールで計測中のデータ、アプリ操作でコンバージョンとして計測したい情報、その他自身のモバイルアプリで独自に計測したいイベントやパラメータがある場合は、モバイルアプリ内にコードを追加して独自のイベントやパラメータでデータを収集し、「Google アナリティクス for Firebase」で分析できるようにしていきましょう。

eコマース関連のイベントとパラメータは、仕様変更が予定されており、Firebaseの英文ヘルプでは仕様変更が反映されています。日本語サイトは変更が反映されていないため、本連載の紹介は日本語サイトにあわせた仕様での紹介となっています(2020年6月上旬時点)。

イベントの収集方法(コードの記述方法)

自動的に収集されるイベント以外のイベント(すべてのアプリで収集が推奨されるイベントやアプリのジャンルごとに収集は推奨されるイベント)は、モバイルアプリ内へコードを追加して(logEvent関数を使って)イベントやパラメータを収集します。

後日、具体的な実装方法を解説しますが、本記事では、技術的な説明は割愛します。解説の前に詳しく知りたい人は、以下のURLよりご確認ください。

iOSとAndroidで実装方法が異なりますので、それぞれリンクします。

◇◇◇

今回は、Firebaseヘルプに記述されている「イベントとパラメータの種類」を元にイベントとパラメータについて紹介しました。次回は、イベントとパラメータの知識を元にして、Firebaseを導入するときの考え方やイベントの要件定義の仕方を紹介します。

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"自動的に" - Google ニュース
June 03, 2020 at 02:00PM
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