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順当に進化した「Pixel 5」は過去最高のPixelだが、必ずしも“お買い得”ではない?:製品レヴュー - WIRED.jp

スマートフォンの通知音が鳴り、慌てて手に取る。待たされていたのはわずか5分間だったが、通話の保留中に流れるひどい音楽を聞く必要がなかったことは今回が初めてだった。グーグルの新しいスマートフォン「Pixel 5」のおかげである。

Pixel 5には、フリーダイヤルなどに電話をかけて保留になっている間、通話の再開まで代わりに“監視”してくれる独自機能がある。これは「Google アシスタント」の人工知能(AI)技術によって実現したものだ。人間が電話に出ると大きな音が鳴るので、手に持った電話を気にしながらケニーGのスムーズジャズを何時間も聞く必要はなくなる。

こうしたちょっとした便利な機能が、グーグルのスマートフォンの評価できるポイントだ。例えば「レコーダー」アプリでは、自動生成された書き起こしから文章をハイライトして削除すると、録音内容を抜粋できるようになっている[編註:自動文字おこし機能は現時点では英語のみの対応]。そしてもちろん、周囲で再生されている曲を識別してくれる「Now Playing」機能や、ロボコール(自動音声による電話)を識別して自動的に拒否する「Call Screen」[編註:現時点では米国のみ]といった機能も評価できる。

だが、Pixel 5にはそこまで劇的な新機能はない。グーグルが「Pixel 3」のときに「Google Duplex」(Google アシスタントがヘアサロンやレストランに電話して予約を代行してくれるサーヴィス)の利用を可能にしたときと比べると、Pixel 5の新機能は目を見張るようなものではない。

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昨年の「Pixel 4」は手の動きを検出するレーダーセンサーを搭載し、音楽の再生などをジェスチャー操作でコントロールできるようにしていたが、こうした奇抜な機能もない。アップルの「Face ID」のような顔認証機能はPixel 5では廃止され、代わりにおなじみの指紋センサーを背面に搭載している。

今年のグーグルが“安定路線”をとっていたとしても、過去最高のPixelを生み出した。これまでのPixelには、必ず大きな妥協がひとつあった。Pixel 4とPixel 3はバッテリーのもちが十分ではなく、「Pixel 2」はディスプレイの品質がよくなかった。そして初代「Pixel」には耐水性能がなかった。こうした欠点や弱点は、すべてPixel 5で解消されたのである。

バッテリーのもちという“欠点”を解消

わたしのパートナーはPixel 4を使っていて、それを彼女はとても気に入っている。しかし、ただ普通に使い続けるためだけに、彼女が1日に2〜3回も充電する様子を目にするのは、なかなかつらいものがある。

これまでのPixelにグーグルが搭載したバッテリーの容量は犯罪ではないかと思えるほど少ないが、この欠点がPixel 5でついに解消された。Pixel 5のバッテリー容量は4,080mAhで、平均的な使用なら1日半は余裕でもつ。とはいえ、オンラインゲーム「原神」をあまり長くプレイしすぎると、丸1日ほどになってしまう。

Pixel 5の機能で重要なのは、新たに搭載された「緊急バッテリー セーバー」モードだ。このモードはWi-Fi接続をオフにしてアプリを一時停止し、バッテリーが最大48時間もつようjになる(ユーザーは任意のアプリの一時停止を解除できる)。つまりPixel 5では、数時間ごとに充電する必要はなくなるというわけだ。

そして次に優れているのが、使用感である。ディスプレイのサイズが6インチなので、「Pixel 4a」や「iPhone 12 mini」ほど小さくはないが、ほかの多くの現行モデルほど巨大ではない。超軽量で手のひらにすっぽりと収まる。大きすぎず、小さすぎず、ちょうどいいサイズだ。

進化したワイヤレス充電

同じように素晴らしいのは、Pixel 5の背面が汚れのつきやすいガラス製ではないことである。100パーセント再生アルミニウム製なので、汚れたり指紋だらけになったりしない。そして、割れる心配のある部分もひとつ減ったということでもある(それでも心配な人は環境に配慮したケースを使うといい)。

アルミにはソフトで手触りのいいコーティングが施されており、テスト機の色は粒入りミント歯磨き粉のようなグリーンの「Sorta Sage」だった。とにかく、いい感じなのである。

一方で、ワイヤレス充電は一般的に金属のボディではうまく機能しない。このためグーグルがどうやってPixel 5にワイヤレス充電機能を搭載したのか、疑問に思う人がいるかもしれない。今回、グーグルは背面にある充電用コイルの真上に小さな穴を開け、その穴をプラスティック素材で充填した。賢い解決策である。この方法をもっと多くのスマートフォンメーカーが採用することで、壊れやすいガラスを背面に使わないようになることを心から望みたい。

充電といえば、Pixel 5の新しい機能のひとつに“ワイヤレス逆充電”として知られている「電池の共有」が挙げられる。サムスンやファーウェイなどのスマートフォンにすでに搭載されている機能で、Pixelの背面の上にワイヤレス充電に対応した別のデヴァイスを置くと、Pixelからワイヤレス充電される。ワイヤレスイヤフォンを充電したいときに便利で、友人のスマートフォンの充電にも使える。

美しいディスプレイと滑らかな動作

もうひとつの優れた点はディスプレイだ。個人的には「ダークモード」派なので、Pixelの有機ELディスプレイの真っ黒な表示にいつも感嘆させられている。それに表示される色もくっきりしていて、いい感じである。

さらにディスプレイのベゼル(枠)はスリムで、左上には目立たないパンチホールの自撮り用カメラがある。この組み合わせは完璧と言っていい。ディスプレイは屋外でも十分に見やすい明るさだった。

画面のリフレッシュレートは、Pixel 4と同様に90Hzに対応している。これは最新の「iPhone」にもない点だ。結果としてPixel 5のユーザーインターフェース(UI)全体がスムーズで応答性に優れているように感じられるが、それはクアルコムのプロセッサー「Snapdragon 765G」(そして8GBのRAM)のおかげでもある。

このプロセッサーは、競合するスマートフォンが採用するような2020年のフラッグシップのチップではないが、いまのところそこに重要性はまったく感じられない。Pixel 5は、これまでのところスムーズに動いている。最高性能のチップの搭載を見送ったことで旧モデルから価格を下げることができたなら、その判断を全面的に支持したい。

さらにPixel 5は防水対応になり、最新のAndroidへのアップデートとセキュリティ対応が3年間保証される。ステレオスピーカーも搭載されているが、音量が大きくなりすぎず、音質は標準的なものだった。

足りない機能を上げるとすれば、ヘッドフォンジャックと128GBの外部ストレージを利用できるmicroSDカードスロットだろう。しかし、これらはもう長いこと搭載されない傾向になっている。

かなり優れたカメラ

Pixel 5のメインカメラは、Pixel 4と同じ12.2メガピクセルのセンサーを採用している。ただし、グーグルによると「ひどいレンズフレアが発生しづらい」ようになり、HDR(ハイダイナミックレンジ)撮影の一部の機能が改善されている。

グーグルによると、このセンサーは同社の画像アルゴリズムで最も多くトレーニングを受けていることから、新しいセンサーを抑えて最も優れた結果を出しているという。また、2つ目のカメラとしてはズームレンズではなく、代わりに16メガピクセルの超広角レンズが搭載された。これは同価格帯となる「iPhone 12」と同じ構成になる。

その性能はといえば、正直なところかなり優れたカメラだ。晴れた日は美しい色に優れたコントラスト、バランスのとれた露出によって、満足のゆく自然な写真を撮れる。

同じことが超広角カメラにも言える。その優れた性能が光るのが夜間だ。

グーグルはアップルのiPhoneからヒントを得て、夜間撮影モードの「夜景モード」を必要に応じて自動的に起動するようにした(シャッターボタンに月のアイコンが表示されるが、これはオフにもできる)。夜景モードはさまざまな露出で複数枚の写真を撮り、それをつなぎ合わせる仕組みである。

夜景モードで撮影する際には数秒ほどカメラを静止しておく必要があるが、多少なら手ぶれしても問題ない。多くの場合は彩度が高めになる可能性はあるが、驚くほど細部をとらえた明るい夜景を写すことができる。

個人的にはPixelで撮影する際に、夜景モードをよく使う。そして、いつも「ポートレート」モードを使う。このふたつの機能をグーグルが融合し、ポートレートモードでも夜景モードを使えるようにすると発表したとき、本当にわくわくした。なにしろ、暗い場所でも背景を美しくぼかした写真を撮ることができるのだ。

この機能は、アップルも「iPhone 12」に搭載すると発表している。実際に試してみると、被写体の輪郭が正しく推測された場合に、ほかのスマートフォンで暗い場所でポートレートモードを使ったときと比べて、はるかに細部までとらえた写真になる(ただし、まだiPhone 12では試していない)。

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Pixelでは素晴らしい写真を撮ることができるが、これまで動画については十分とは言えなかった。このもうひとつの長きにわたる不満を、グーグルはPixel 5で解消している。

Pixel 5では通常モードのほか、3つの手ぶれ補正モード(「アクティブ」「ロック」、「シネマティック撮影」)が用意されている。シネマティック撮影は最も楽しいモードで、映像の速度を落として音声をすべてミュートにする。風光明媚な風景をパンで撮影したり、スピーディーなアクションをとらえたりする際に最適だろう。

これらの手ぶれ補正モードは、Pixel 5でより多くの見応えのある動画を撮影する上で役に立つ。しかし問題は、ほとんどの電子式手ぶれ補正システムと同様に、手ぶれ補正のために画像が大きくトリミングされることだ。結果として得られる動画の品質はそれほどよくない上に、iPhoneやサムスンのデヴァイスで得られる画質にはかなわない。

iPhoneと比べると……

Pixel 5は優れたスマートフォンである。しかし、アップルやサムスンのようなスマートフォンメーカーは、ほとんどの人が新しいスマートフォンに1,000ドル(約10万5,000円)も出したくないことに気づいている。両社とも同じような価格で優れたデヴァイスを導入している。サムスンは「Galaxy S20 FE」を投入し、アップルはさらに低価格な「iPhone 12 mini」を11月に発売する予定だ。

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これらの2台のスマートフォンにも、足りないものはない。少し技術的な話をすると、Galaxy S20 FEはUSB-Cポートに「USB 3.2」規格を採用することでデータ転送速度を高速化し、内部ストレージの規格に「UFS 3.0」を採用して読み書き速度を高速化している(アプリの起動時間の短縮などだ)。

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これとは対照的に、Pixel 5ではUSB 3.1とUFS 2.1を採用している。また、Galaxy S20 FEとiPhone 12 miniは、どちらも最新のWi-Fi規格「Wi-Fi 6」に対応している。Pixel 5は対応していない。

グーグルは5Gでの接続のために、Sub-6(6GHz以下)とミリ波帯の周波数帯に対応している。しかし、すべての5G対応スマートフォンと同様に、通信プランをアップグレードして追加料金を支払う必要が出てくる。それに言うまでもないことだが、米国では5Gサーヴィスの対応エリアが少ないので、まだ5Gへの対応について考慮する価値はない。

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必ずしもお買い得ではない?

冒頭でPixel 5には大きな妥協点はないと説明したが、実は間違っていたかもしれない。Pixel 4より価格が100ドル(日本では15,180円)価格が下がったとしても、まだお買い得な価格とは言えないからだ。

予算を気にする人なら、350ドルの「Pixel 4a」(日本では42,900円)か500ドルの「Pixel 4a(5G)」(同60,500円)がおすすめと言える。Pixel 4a(5G)はPixel 5と非常によく似ているが、サイズが大きく、画面のリフレッシュレートが60Hzで、ワイヤレス充電機能や耐水性能はなく、ボディはプラスティック製だ。

関連記事グーグルの「Pixel 4a」は、価格を考えれば“完璧”に近いスマートフォンに仕上がっている:製品レヴュー

グーグルなら、収集したあらゆるデータを利用してスマートフォンの適正価格を正確にはじき出すと思うかもしれない。でも700ドル(日本では74,800円)を払えば、少なくとも通話が保留の間にケニーGの曲を聞く必要はなくなるのだ。

◎WIREDな点
なにしろコンパクトで、本当に素晴らしいディスプレイ。優れたバッテリーの持続時間で、高性能。役立つアシスタント機能。夜間に特に性能が光る高性能カメラ。5G対応、耐水性、NFC、ワイヤレス充電に加えて、最新のAndroidへのアップデートとセキュリティ対応が3年間提供される。

△TIREDな点
動画撮影モードの進化は大歓迎だが、品質はまだ競合モデルに劣る。価格がお買い得ではない。。

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